MG MS-09改 ドム重装型

 制作期間 2007年5月〜8月

 

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MS-09改 ドム重装型 機体解説

 

 

 

■機体開発の背景

オデッサ戦以降、ジオン軍において主力陸戦MSとして配備が開始されたのが、MS-09ドムであった。

 

ドムはその特徴である、重装甲とホバー走行による機動力、強力な破壊力を持つ360mmバズーカによって、1対1の戦いでは連邦の量産型MSジムと対等以上に戦う事が出来た。

しかし、連邦軍は激戦区から順次、大量のMSを配備し始めており、ジオンのMS部隊は徐々に数的に上回る連邦MS部隊との戦いを強いられるようになっていった。

 

戦力的に劣る戦闘において、ドムの主武器である、ジャイアントバズや、ラケーテンバズでは装弾数が少ない為、多数の敵を相手にした戦闘において弾切れを起こす事が多くなっていた。もちろん、それ以外に90mmマシンガンなども装備している場合が多かったが、パイロットからは敵MSを確実に破壊できる、バズーカの装弾数の増加を望む声が高くなっていった。

 

そこでキャリフォルニアベースでは、各戦線からの要望を元にドムの改良型を試作する事になった。

改良コンセプトとして下記のような点が挙げられた。

・基本的に数的に劣勢な戦闘を想定

・予備弾倉、予備武装を装備出来る為のマウントラッチ機構の追加装備

・長時間戦闘に耐えられる、燃料の追加装備

・被弾を前提とした、脱着可能な増加装甲の装備

・開発に時間のかかる新開発パーツは使用せず、既存のパーツを流用する

 

 

■ランドセルの変更

まず、内装式のメインスラスターは取り払われ、トロピカルテストタイプのランドセルが流用された。これはランドセル自体をウエポンラックとする為であった。また、このタイプのランドセルにはプロペラントタンクが装備されていた為、それを利用する目的もあった。

ランドセル左側には、キャリフォルニアベースに連邦軍が大量に残していった長距離ミサイルを流用し35連装ミサイルポッドが装着された。このミサイルはミノフスキー粒子が発見される以前に開発された長距離誘導式ミサイルであり、ミノフスキー粒子散布下では使用出来ない物であった為、誘導装置部分を除去し、炸薬を増量した改良型であった。

基本的に長距離誘導は出来ない為、あらかじめ位置がわかっている敵施設や、陣地、戦線に対して間接攻撃をする目的であったが、不意の敵接の場合には近距離での対MS戦闘でも使用出来るように改良された。

 

■ランドセル部の追加装備

ランドセル右側にはラケーテンバズ用の弾倉を5つ装備出来るホルダーが装着された。ホルダー基部にはモーターが内装されており、ラケーテンバズの弾装交換時には、ホルダーを引き上げると予備弾装が前に運ばれてくる。そこに空の弾装を切り離したラケーテンバズの弾装装着部分をはめ込むだけで、ラケーテンバズを肩に担いだまま、弾装交換が出来るという機構だった。また、ホルダーに使用されていたモーターはMSの間接部分のモーターを流用する事が出来た。

 

■スカートアーマー部の追加装備

フロントスカートには90mmマシンガンのマガジンを装備出来るラックが装着された。また、リアスカートにはラケーテンバズーカを一門か、90mmマシンガンを二挺装備出来る大型ラックが新設され、またクラッカーを4個装備出来るマウントも装備された。

 

■脚部追加プロペラントタンク

脚部には熱核ジェット用のプロペラントタンクが4基装備され、行動半径の増大、戦闘時間の延長が図られた。大型のタンクを二基ではなく、小型のタンクを4基としたのは、2基を戦場に向かう巡航時に使用、戦闘時に残りの2基を使用するといった使い分けを可能にする為だった。緊急時には切り離し可能。

 

■各部増加装甲

胸部、下腕部、脛部分には脱着可能な増加装甲が装備された。これは被弾の可能性の高い部分だけを覆うようになっていて、可能な限り重量増を防ぐ設計になっている。装甲は可能な限り簡易な設計となっており、ある程度の設備さえあれば生産できるように形状も曲線形状ではなく直線的な形状となっている。ドム本体の装甲とはある程度の距離を置かれてマウントされており、被弾時の爆発エネルギーを装甲と装甲の間の空間で逃がすスペースドアーマーとなっている。また、一部に本体の装甲に貼り付ける形で増加装甲が施されている。

 

追加された、ミサイルポッド、ラケーテンバズ用弾装ラック、増加装甲、プロペラントタンクは全て切り離し可能で、緊急時や、弾を使い切った後は全て切り離して、身軽になる事が出来た。

 

こうして試作された機体は正式な型式番号は持たず、MS-09改 重装型と呼ばれ、3機がこのタイプに改修された。

キャリフォルニアベースのMS試験隊によって各種試験が行われ、一部重量バランスに問題ありとされたが、全ての装備が切り離し可能という事で、特に重要視されなかった。戦局は悪化しており、多少の問題よりも、配備のスピードが問題とされたのだった。

 

 

 

■実戦

キャリフォルニアベースでの試験がほぼ終わりかけた頃、連邦軍が北米西海岸に侵攻を開始。

3機のテスト機は急遽キャリフォルニアベース防衛戦に参加、キャリフォルニアベース陥落後は東に向かって撤退する味方部隊の護衛任務に他の部隊と共に当たった。

この際、西海岸から追撃してきた連邦軍と幾度か戦闘になったが、ドム重装型は1機も失われる事なく、終戦まで健在であった。

これは、搭乗パイロットが技量の高いベテランのテストパイロット達であった為であると思われる。

実際にこの試験隊はこの短い期間にかなりの数の連邦軍MSを撃破したという記録が残っている。

また、キャリフォルニアベースのMS試験隊に所属していた多くのテストパイロット達は、この時期、テスト機で実戦に参加し、かなりの戦果を挙げたと言われている。

 

MS-09改 ドム重装型試験隊は西海岸から撤退してきた他の多くの部隊と共に、シカゴで終戦を向かえ、機体は連邦軍に接収された。

 

―民明書房刊「一年戦争試作MS大全」より抜粋―

 

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