MG RGM79G 陸戦型ジム 2004年7月

ジオンのMSに比べて連邦軍のMSは現地改修機などは少ない。しかし、少ないながらも存在したのは確かである。東南アジア方面でのEz-8などがその例であり、その多くは1機のみのカスタムメイドであった。

元々、先行量産タイプである陸戦型ジムは、その後量産型のジムに生産がシフトされた事もあって、予備パーツ等も少なく、パーツ交換を必要とする修理が必要な場合にパーツが揃わないという事があった。そのため最前線ではありあわせの部品を使用して改修し、結果的に元の機体形状と異なるカスタム機が出来上がる事が多かった。

この陸戦型ジムもそうしたカスタム機の内の1機である。極東方面軍に所属した本機は敵との戦闘で大破したのをきっかけに改修された。破損した装甲部分やその他、被弾する確率の大きい機体前面を中心に増加装甲が施されている。ッ詳細に見てみると、肩部、胸部、大腿部、脛部、そしてつま先に増加装甲が施されている。これらの増加装甲は本来のルナ・チタニウムではなく、現地で調達した高張力鋼であるが、増加装甲としてはそれで充分であった。特に胸部コクピット上部と前面に無骨に貼られた装甲板はパイロットに安心感を与えたという。装甲以外の変更点としては右肩部にマルチディスチャージャーが装着されており、発煙弾、照明弾などを発射する事が出来た。ジェネレータ等動力系は変更されていないが、ラジエター容量を若干増加し、冷却効率をアップさせている。

武装としては通常の100mmマシンガンやミサイルランチャーを使用していたが、機体改修時に試作型の重機関砲を供与され、以後それを主武装として使用している。この試作重機関砲は、主にドムや水陸両用型などの重モビルスーツを一撃で撃破する事を目標として極東のフジ社で試作された。従来の100mmマシンガンはザクタイプを撃破するには充分な威力を持っていたが、厚い装甲を持つドムや、水陸両用タイプのゴッグ、ズゴックなどに対しては威力不足であった。またビームライフルは生産数が少なく、ジムのジェネレータ出力では充分な威力も発揮できなかった。その為、大口径砲弾を高初速で連続発射できる重機関砲が開発されたのだった。

試作重機関砲の砲弾には180mmという大口径弾を使用した。これはRX-79Gタイプも使用していた180mmキャノンと同口径であり、いかに大口径かが分かる。このような大口径砲弾の連続発射を可能にする為に機関砲本体にはあらゆる最新技術が投入されたが、機関砲本体の大型化は回避出来なかった。180mm砲弾をベルト給弾タイプにし、それを収める為の大型マガジンを本体後部に装着。また大口径砲弾を高速で連続発射する為の機関部も大型化せざるを得なかった。そして高初速を実現するには砲身の長さが必要だった。また、大口径弾の連続発射による発生する熱が凄まじかった事から、水冷式の砲身冷却ユニットが本体前部に装着された。この重機関砲の長い箱のような特徴的なシルエットは、前半分に砲身を強制冷却させる冷却水タンク、ポンプユニット、ラジエターなどを収納する為である。

このような理由で大型化した重機関砲はマニピュレーターのみで保持する事ができず、シールドマウント用のラッチに接続して使用する事となった。しかし、その破壊力は抜群だった。実際にドムとの戦闘の記録が残っているが、1斉射のみで重装甲を誇るドムをめちゃめちゃに大破させており、その後の数度の戦闘でも抜群の破壊力を発揮し、この重機関砲と増加装甲を装着したジムは極東方面のジオンパイロットの恐怖の的となったという。

こうして凄まじい破壊力を見せつけた、試作重機関砲だったが、正式採用されるには至らなかった。その理由としては、整備性の問題と大重量による取り回しの悪化の問題などがある。

まず整備性の問題であるが、今までにない大型の機関駆動部は発熱が凄まじく、様々なトラブルを発生させた。駆動部の焼き付きが頻発し、熱によって強度も低下し、破損する部品も多かった。またMS用の実体弾を使用する武器では初の試みとなった水冷式の強制冷却システムも、まだまだ信頼性が低く、細かなトラブルを抱えていた。結局、戦闘の度に分解し部品を交換、修理するハメになったのである。

また、機関砲の大型化とその重量は取り回しを悪化させた。重く大きなこの武器は、敵に接近されると使いづらかった。敵にふところに飛び込まれると、重機関砲の重さ故に敵に照準を定める事が難しかった。

こうしてこの試作重機関砲は採用される事はなかったが、増加装甲を施した現地改修型ジムのパイロットは、この武器を気に入って終戦まで使い続けてスコアを重ねたという。これは、トラブルの多い試作型の武器を、戦闘の度に分解整備・修理出来るバックアップ体制が整っていたからであろう。戦争中盤以降、攻勢に転じた連邦側には、最前線にも充分な整備機材と人員が投入されていた。ジリ貧になっていったジオンではこうはいかなかった。

戦後、極東方面でこのジムと戦闘を繰り広げたジオンMS部隊に所属していた、あるパイロットの証言によると、ジオン側はこの驚異的な破壊力を持つ重機関砲を何とか奪取して使用しようと思っていたという。しかし、戦後にこの武器が様々なトラブルを抱えていた試作品である事を知り、「もし、我々がその試作品を奪取出来たとしても、1回の戦闘で使用して、それで終わりでしょう。あの頃の我々には満足な整備部隊などなかった。毎回整備や修理を必要とする武器など、維持出来なかったでしょう。」と言ったという。

-民明書房刊「連邦兵器大全」より抜粋-

 

陸戦型ジムの肩、胸、脚部にプラ材で増加装甲を自作、増加装甲装着型とした。

ちなみに足の甲のアンクルガード?部分は塗装後、組み立て時にテンションがかかって

プラ棒の継ぎ目からパキッと割れてしまいノーマルに戻した

 

ロングレンジビームライフルには発光ダイオードを仕込み電池ボックスと接続

電池ボックスには外部ジェネレータを模したフタを自作して被せるようにしてある

またプラ材とジャンクパーツでオリジナルの重機関砲を自作した

 

スナイパーのカラーは本来グリーン一色だが

濃いグリーンと薄いグリーンのツートンにしてある

グリーンっていう色は地味なんでもっと明るいグリーンにした方が良かったかも